世界のぜんぶが書いてある本、ない?

普段自分が考えてること、疑問に思ってることを検索してみても意外と答えが見つけられないので仮説を立てて自分から発信してみることにしました。ブログタイトルは、僕のだいすきな漫画『せんせいのお人形』のセリフです。(勝手に使ってます、ごめんなさい。)

”わからない”から行動できない

不正のトライアングル

「不正のトライアングル」という言葉をご存知でしょうか。アメリカの犯罪学者 ドナルド・R・クレッシー氏が提唱した理論をもとに、人が不正行為を起こす条件をモデル化したもののことで、

  • 機会:不正行為が実行可能もしくは不正行為が発覚しにくい環境であること
  • 動機:不正行為の実行を必要とする主観的事情があること
  • 正当化:不正行為を正当化する主観的事情があること

の3つの条件がそろったとき、人は不正を犯してしまうのだとしています。

https://www.d-quest.co.jp/wp-content/uploads/2019/08/fraud_triangle-1.png

↓画像引用元↓

人が不正をするのはなぜか? 要素をモデル化した「不正のトライアングル」の紹介 | ディークエスト グループ

この理論はクレッシー氏が犯罪者への調査を通じて導き出した仮説で、この3要素が必要十分条件だという論理的な証拠があるわけではないと思いますが、感覚的には納得のいく3要素かなと思います。

本記事とは別のテーマで記事を書くために調べていたところ、この不正のトライアングルを知ったのですが、この3要素って不正行為だけでなく正当行為であっても同じことが言えるんじゃないかと思いついてしまったので、その勢いでこの記事を書いてみました。

 

今回の仮説「行動のトライアングル」

前述のとおり不正のトライアングルの3要素が揃うと人は不正を犯してしまうということですが、不正行為に限らず行動全般に適用して考えみると、
機会・動機・正当化の3要素が揃えば人は行動を起こすことができる
と捉えることができるのではないか、というのが今回の仮説です。

不正のトライアングルの説明を行動全般を含むような言い方にするならこんなかんじでしょうか。

  • 機会:その行動を起こすための環境が整っている、または行動を起こすことが容易であること
  • 動機:その行動をとるメリット・せざるを得ないプレッシャーがあること
  • 正当化:その行動を取ることを正当化するような事情があること

名付けて「行動のトライアングル」です(適当)。

もっと僕の解釈を入れて簡単な言い方をするなら、

行動に移すためには

  • 機会:そもそも可能なのか(コスト・難易度)
  • 動機:本当に必要なのか(メリット・プレッシャー)
  • 正当化:裏目にならないか(デメリット・リスク)

についてクリアにしておく必要がある。

というかんじでしょうか。(「正当化」って名前が微妙ですが..。)

ここまでかみ砕いた言い方にしてしまえば、不正行為だろうと正当行為だろうと、同じ「行動」であると捉えて、行動するための条件として同じものを適用してよさそうじゃないですかね。

そしてこの仮説が正しいとすると、「やらなきゃと思っていても行動に移せない」というときの原因分析方法として、この「行動のトライアングル」が活用できるのではないかと考えています。

 

やったほうがいいのに、やりたくないこと

それでは具体例を出して本仮説の条件に当てはめてみたいと思います。

最近僕は仕事関係の資格を取ろうか考えています。以前から会社の上司にも資格取得を話題に出されていました。やったほうがいいのかなと思いつつも、人に言われてやりたくないという気持ちもあって、行動に移そうとはしませんでした。

しかし、今の配属先の仕事にも慣れてきて、最近自分の成長を感じないなと思うようになりました。そこで何か行動を起こしたいと思い、資格取得を少し前向きに考えるようになりました。

この「資格を取る」という行動について行動のトライアングルを当てはめてみて、思いつくことを書き出してみました。

※行動するための後押しになるプラス要素を青字、足かせになるマイナス要素を赤字にしてます。

行動目標:資格試験に合格すること

 機会(コスト・難易度)

  • 資格試験の申し込みはネットで簡単にできる。
  • テキストを購入せずとも過去問などはネットで拾うことができる。
  • 現在の自分の実力に見合う難易度の資格なのかわからない。

 動機(メリット・プレッシャー)

  • 仕事に活用できる知識が身につくかもしれない。
  • 取得できれば会社から受験料と報酬金が支給される。
  • 会社が資格取得を推奨しており、上司からもそのことについて言われる。
  • 社内でも資格取得者が増えている。

 正当化(デメリット・リスク)

  • 不合格になったときに周囲に知られるのが恥ずかしい。
  • 不合格になると受験料が支給されない。
  • 不合格になったときに落ちるぐらいなら受けなければよかったと後悔しそう。

 

まず「機会」の自分の実力に合った難易度かどうかについては、過去問を解いてみればわかることなので、制限時間を設けずに解いたところぎりぎり合格点届くか届かないかぐらいの得点でした。難易度としてはちょうどよさそうです。

そして行動のトライアングル3要素のうち、僕が行動に移せないのは失敗時のリスクが理由として大きいことが見て取れます。なるほど、だから行動できなかったんですね。やれと言われるとやりたくないからではなかったですね..笑



それでは「正当化」のマイナス要素について対策を考えていきます。

まず「正当化」の1つ目「不合格を周囲に知られると恥ずかしい」については、資格試験を受けることを会社の人に言わないでおいて、もし合格したら報告することにしました。会社の人に受験意思を伝えることで逃げ場をなくし「動機」のプラス要素を増やすこともできますが、「動機」はすでに十分なプラス要素を持っているので「正当化」のマイナス要素を減らすことを優先しました。プレッシャーは大きすぎても行動のハードルを上げちゃいますからね。

続いて「正当化」の2つ目「不合格だと受験料が自腹になる」ですが、今回の目的は「お金がほしい」よりも「自身の成長のため」が自分にとっては大きいと思ったので、一旦優先度を下げることとしました。少なくとも受験料自腹になったとしても生活に困るということはないですし、「あわよくば受験料ただにできる」というおまけ的な要素だと捉えることにしました。

そして「正当化」3つ目の「落ちたら後悔しそう」ですが、行動目標を「資格試験に合格すること」から「受験申し込みをして、資格試験を受けること」に変更することで不合格がリスクにならないようにしました。僕が本当に欲しているのは資格取得というより、自己成長のために行動したという事実だと考えたからです。

目標が消極的すぎだろと思われるかもしれませんが、目標が行動の妨げになっては意味がないのです。

 

というわけで行動をとるにあたってのマイナス要素の対応策を考えた後の修正版がこちら。

※削除した要素には取り消し線、追加・修正した要素には下線を引いています。

行動目標資格試験に申込をして、試験を受けること

 機会(コスト・難易度)

  • 資格試験の申し込みはネットで簡単にできる。
  • テキストを購入せずとも過去問などはネットで拾うことができる。
  • 現在の自分の実力に見合う難易度の資格なのかわからない。
  • 試験問題の難易度は現在の自分のレベルに合っていそう。

 動機(メリット・プレッシャー)

  • 仕事に活用できる知識が身につくかもしれない。
  • 取得できれば会社から受験料と報酬金が支給される。
  • 会社が資格取得を推奨しており、上司からもそのことについて言われる。
  • 社内でも資格取得者が増えている。

 正当化(デメリット・リスク)

  • 不合格になったときに周囲に知られるのが恥ずかしい。
  • 不合格になったら恥ずかしいので、会社の人には受験意思は一旦伝えないでおく。
  • 不合格になると受験料が支給されない。
  • 不合格だと受験料が支給されないが、自費になっても生活に困るような痛手ではない。
  • 不合格になったときに落ちるぐらいなら受けなければよかったと後悔しそう。
  • 資格試験を受けることが目標なので、不合格になっても目標は達成できる。

 

これで行動のトライアングルの3要素の条件をすべて満たすことができました。ここまで考えて僕はやっと資格試験の申し込みをする決心ができたのでした。

わからないから、動けない

今回は人が不正行為を犯すまでのメカニズムのモデル「不正のトライアングル」をもとにして、人が行動を起こすのに必要な条件「行動のトライアングル」を考えてみました。

資格試験申し込むだけでどんだけ考え込んでんだって自分でも思いますが、これはあくまで一例ですので、やらなきゃとわかっててもどうしても行動に移せないというときの原因分析方法の一つとして考えていただけたらなと思います。

もちろん思い立ってすぐ行動できるならそれでいいんですけどね..。でもそれができないのなら、まずはなぜできないのか考えてみるのはありかなと思います。

原因がわかれば対処法も考えやすいですし、「わからない」といういちばん怖い状態から抜け出すだけでも気が楽になるんじゃないかなと思います。というかわからないから動けないのかもしれないですしね。

あ、それと今回のお話はあくまで、やるべきこと(正当行為)を行動に移すための話であって、不正行為を正当化しようとしてるわけじゃないのでご留意ください。不正のトライアングルも不正行為に走らないために、この3条件がそろわないようにしようねって話ですので。

というわけで、あまりまとまりのない内容でしたが、今回は以上とさせていただきます。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。