世界のぜんぶが書いてある本、ない?

普段自分が考えてること、疑問に思ってることを検索してみても意外と答えが見つけられないので仮説を立てて自分から発信してみることにしました。ブログタイトルは、僕のだいすきな漫画『せんせいのお人形』のセリフです。(勝手に使ってます、ごめんなさい。)

『不安』は環境変化のセンサー

はじめに

新型コロナウイルスが騒がれ始めて、約1年経ちました。
世界中の人々がウイルスに恐怖し、今もなお不安を抱いている状態が続いています。

新型コロナウイルスが騒がれ始めた当初、マスクやティッシュペーパーの買い占めが起こったり、外出者を通報するコロナ警察なんてものが現れたり、混乱状態に陥りました。

コロナ禍は現在も続いているわけですが、この一件を通して僕は『不安』という感情がいかに人の判断力を惑わせるかということを痛感しました。

そこで今回は『不安』をテーマにした記事を2本立てで書いてみたいと思います。 書いてみたらすごく長くなったので、2つの記事に分けることにしただけなんですけどね...。

今回は前編として、『不安』という感情がどのような役割を果たしているのかについて考えてみたいと思います。



今回の仮説

今回の仮説は、『不安』という感情には

環境変化を察知し、適応するよう喚起する役割  
があるというものです。

『不安』が行動欲求を駆り立てる

まず、『不安』という感情を脳科学の観点で見てみます。
人は不安・緊張・恐怖を感じると脳内でノルアドレナリンという物質が分泌されるそうです。

diamond.jp

この物質は人の行動欲求を高める効果を持っています。 ノルアドレナリンは「闘争か、逃走か」の物質と言われ、ピンチの時に「さっさと行動しろ!」とせかすことで、判断スピードを格段に上昇させます。

ここでいう「判断スピードの上昇」は、「とにかく何かしら行動を起こしたい」という行動欲求を高めるものであり、冷静な判断をする力が高まるわけではありません。

新型コロナウイルスという未知の存在に対する不安に駆られ、多くの人が足早に行動を起こしたのも、このノルアドレナリンの分泌によるものなのかもしれません。

このことから、不安という感情は何かを察知して、行動するよう急かしてきているということがわかります。



『不安』は環境変化のセンサー

特定の時期に不安になる症状として「五月病」「マリッジブルー」「マタニティブルー」なんて言葉があります。

進学や就職・転居などの環境変化に伴い不安を抱くのが「五月病」。 結婚間近に不安になることを「マリッジブルー」、妊娠中や出産後に発生する不安を「マタニティブルー」と言います。

これらの共通点として、いずれも人生の節目に発生する症状であるという点があると思います。 「人生の節目」を言い換えると「大きな環境変化」と表現できます。

進学や結婚・妊娠というものは一般的に悪いイメージを持つイベントではないと思います。 しかし、なぜか多くの人が大きな環境変化に対して不安を抱いてしまうのです。 このことから『不安』は必ずしも悪いことを予知して発生しているわけではないことがわかります。

以上を踏まえて、『不安』とはただ単に環境変化を察知しているだけであり、変化する環境に対して、「適応が必要ですよ」と知らせてくれる感情なのではないでしょうか。



不安を増長させる情報化社会

不安になると発生するノルアドレナリンのことを前述しましたが、実際に「闘争か、逃走か」を迫られることなんてまずないですよね。 少なくとも僕は、日常的に生きるか死ぬかを迫られるような生活を送ってはいません。

文明化が進み、あらゆる面で安全性が担保されている現代と、人類が『不安』という感情を獲得したころの時代では状況が違うのかなと思います。

もちろん、世界中のすべての人々が日常的に「闘争か、逃走か」を迫られることがない世の中になったわけではないと思います。 しかし、実際に多くの人が不安にさらされている状況下にあるのは、文明化が進み、比較的身の安全が保障された先進国なのです。

多くの特に若い世代の人々が不安を感じている原因として、インターネットの普及が指摘されています。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2020/01/post-313_2.phpwww.newsweekjapan.jp

インターネットおよびソーシャルメディアの普及により、誰もが簡単にたくさんの情報を手に入れられるようになりました。 いわゆる情報化社会ですね。

これはもちろんいいことでもあるのですが、新しい情報を得ることはその情報から予見できる未来を得ることでもあります。

絶えず新しい情報にさらされ続けることで、脳はあらゆる環境変化を察知し、『不安』という形で我々に知らせ続けているのではないでしょうか。

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最後に

今回は『不安』をテーマにした記事の前編として、『不安』という感情がどういう役割を持っているかを考えてみました。 『不安』という感情は本能的な面で見ると、あるべくして存在してるということがなんとなく伝わっていただければ嬉しいです。

人間の遺伝子もまさかこんな情報社会になるなんて想定してなかったでしょうから、世の中が不安であふれてしまった現状も、ある程度は仕方ないのかなとも思います。

前述の通り、「闘争か、逃走か」の選択を日常的に迫られることのない現代ですから、不安になったらとにかくすぐ行動するよりも、冷静に状況を見て判断してから行動するほうが吉となる場面もあると思います。

とはいえ不安になるとノルアドレナリンが「はやく行動して!」と急かしてくるので、冷静に判断するのは簡単じゃありません。

この情報という名の不安の因子であふれている現代で、『不安』とどう向き合っていくか。 後編ではこの辺りのお話ができればなと思っています。

後編の記事に続きますが、一旦前編のお話は以上です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。