世界のぜんぶが書いてある本、ない?

普段自分が考えてること、疑問に思ってることを検索してみても意外と答えが見つけられないので仮説を立てて自分から発信してみることにしました。ブログタイトルは、僕のだいすきな漫画『せんせいのお人形』のセリフです。(勝手に使ってます、ごめんなさい。)

インターネットがヒエラルキーをなくす

はじめに

久しぶりに『いじめ』について記事を書きます。 まあ、『いじめ』という言葉を出してないだけで、関連する記事は最近も書いていたつもりですけど。

以前投稿した記事「閉鎖空間がいじめを生む」では、制限のかかった生活空間が、生存優先順位というヒエラルキーを生み、いじめのトリガーになりうるという仮説を立てました。

また、人類がここまで繁栄してしまった以上、ヒエラルキーが不要なほどの広い生活空間を確保することは難しいとも言及しました。

zeppekikun.hatenablog.com

今回もこの仮説を前提に話を進めていきたいと思います。 今回の記事ではインターネット上の誹謗中傷に焦点を当てたいと思います。



今回の仮説

今回の仮説は、インターネット上には誹謗中傷の温床となる閉鎖空間が存在する一方で、インターネットは

仮想空間によって無限大の開放空間を作ることができ、
ヒエラルキーを生まないほどの広い生活空間を実現できる  
のではないかということです。

最終的な仮説としてはこちらを置いていますが、まずは「なぜ、ネット上の誹謗中傷は激化しやすいのか」という疑問について考えていきます。



匿名性廃止の効果は薄い

『炎上』という言葉があるように、インターネットは誹謗中傷が激化しやすい環境であるとされています。 その理由の一つとして匿名性が挙げられることがあります。 芸能人やアスリートなど有名人のほうが話題になりがちなので、そう思われるのも自然なのかなと思います。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、実は「匿名性の廃止」による誹謗中傷の減少の効果は小さいと言われています。
というのも、実際に韓国で「インターネット実名制」が導入されたことがあります。 結果として掲示板での悪意のある書き込みの割合は導入前の13.9%から導入後13%までに留まりました。 その後憲法違反との判決を受け、実名制は廃止されています。

gendai.ismedia.jp

このことからネット上での誹謗中傷の激化の原因として、匿名性の影響は小さいことがわかります。
このことを知って僕は驚いたんですが、よくよく考えてみると、そもそも実名制であるFacebookがありますし、お互い名前が割れてる現実でもいじめはあるんだから当然と言えば当然ですね。



全人類から否定されたような錯覚

インターネットの誕生によって世界中の人と簡単に情報をやり取りすることができるようになりました。 言い換えると、ネットという仮想空間を利用することで、全人類が一つの集団を形成することに成功してしまったということなのではないでしょうか。
つまり、ネット上で誹謗中傷を受けるということは、全人類から否定されるのと同義になってしまうのです。

f:id:zeppekikun:20201218014411p:plain

僕の仮説ではいじめは閉鎖空間で発生します。 そのため、閉鎖空間内の集団から排除されたとしても、その閉鎖空間の外に出てしまえば集団内のルールから抜け出すことができます。
つまり、閉鎖空間でいじめが発生する以上、現実世界では閉鎖空間の外という逃げ場が必ず存在するはずなのです。

しかし、ネット上で誹謗中傷という排除行為を受けた場合、世の中全体から否定されたことになるため、逃げ場が存在しないのです。

もちろん攻撃しているのは全体のうちのほんの一部です。 ほとんどの人間はコメントしない傍観者です。 しかし、ネット上の傍観者の存在は可視化されていないため、余計に極端な意見のみが目立ってしまいます。 これがネット上の誹謗中傷の激化を促進しているのではないでしょうか。

www.softbank.jp



ネットを使った逆転の発想

ここまではネット上のコミュニケーションにおけるデメリットを取り上げていきました。 世界中の不特定多数の人間から攻撃を受けることの怖さは伝わったでしょうか。

ここで逆転の発想です。 ネット上での情報のやり取りというのは「仮想空間でのコミュニケーション」であると捉えることができます。 ここでいう『仮想空間』とは物理的空間を必要としない疑似的な空間のことです。

例えば『チャットルーム』という言葉がありますが、コミュニケーションをとるための部屋=物理的な空間を必要とせずに、ネットという仮想空間上でコミュニケーションの場を用意することができます。

ネットという仮想空間だからこそ、現実の物理的空間のように広さの制限に囚われず、無限に生活空間を広げ続けることが理論上可能です。

つまり、ネットは誹謗中傷の激化の温床となる閉鎖空間のようで、実は無限大の開放空間を作り、ある集団から排除されようとも絶対的に逃げ場を用意できる可能性を秘めていると言えます。

f:id:zeppekikun:20201218023619p:plain

もちろん、仮想空間内でどのように集団を作り、集団同士のつながりをどう構成していくかは別途考えていく必要があります。

しかし、少なくとも以前の記事で言及したヒエラルキーを生まないほどに広い生活空間の確保」を仮想空間により実現できることがわかりました。

これは「いじめをなくす」ための仕組みを考えていくうえで有用性があるのではないでしょうか。

今回の仮説についてのお話は以上です。



最後に

今回はインターネットという仮想空間における危険性といじめを根絶できる潜在的可能性について考えてみました。

今回の記事のテーマについて考えるきっかけとなった、漫画『推しの子』を読んでいたところ、ネット上の好き勝手な発言に対して瑠美衣(るびい)が放った言葉が僕の心にグサッと刺さりました。

「傷つけられる側が自分を納得させる為に使う言葉を人を傷つける免罪符に使うな……!!!」  

【推しの子】|ヤンジャン!|週刊ヤングジャンプの公式マンガアプリ ※この台詞の登場は第10話

ネットという不特定多数の人間が属す集団内では、一人一人の発言の責任が希薄になりがちだと思います。
今一度我々は、画面の向こうには自分と同じ人間がいるということを意識しなければならないのではないでしょうか。

今回のお話は以上です。
ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございました。