世界のぜんぶが書いてある本、ない?

普段自分が考えてること、疑問に思ってることを検索してみても意外と答えが見つけられないので仮説を立てて自分から発信してみることにしました。ブログタイトルは、僕のだいすきな漫画『せんせいのお人形』のセリフです。(勝手に使ってます、ごめんなさい。)

閉鎖空間がいじめを生む

前提

本記事ではいじめをある種の現象として捉えるために、以下の定義を置いて話を展開していきます。
『いじめ』とは、

「ある集団の中で『いじめる側』と『いじめられる側』が存在し、『いじめる側』が『いじめられる側』に対して、集団からの排除ないし集団内での活動に制限をかける行為」
とします。
ぶっちゃけこれ自体が仮説の一部なんですが、これを前提に話を進めていきます。



今回の仮説

説明が長くなりそうなので、先に仮説を提示します。

『いじめ』の目的は

「種の存続のための口減らし」

であり、いじめの原因(≒引き金)は

「ある生活空間において、その空間内で生活する個体数が生活可能な個体数の上限を超えたため」

ではないか、という仮説を今回提示します。



魚の世界にも『いじめ』は存在する

まず、今回の仮説に至る発端となった記事を紹介します。 www.asahi.com さかなクンによると魚の世界にも『いじめ』が存在するそうです。
海の中を群れで泳いで生活するメジナをせまい水槽に一緒に入れると、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めます。その魚を別の水槽に移すとまた別の1匹が攻撃されるようになります。
一方で広い海で生活するメジナたちの間ではこのような現象が起きないようです。

このことからわかる事実は2つです。

①『いじめ』は人間に限らず、自然界でも起こりうる。
イルカなどの比較的知能が高いとされる生物でもいじめがある*1というならまだ納得できる気がします。 しかし魚などの一見理性がなさそうなほど知能が低いとされる生物でもいじめが起こるのであれば、『いじめ』は生存競争のための進化の過程で獲得したもの=本能である可能性が見えてきます。

②生活空間に制限がかかることが『いじめ』のトリガーになりうる。
メジナたちの間でいじめの発生前と発生時で違うのは生活空間が広い海→せまい水槽になったことです。つまり生活空間に制限がかかったことがトリガーになったということになります。もちろんこれだけでは「生活空間の狭さ」のみがいじめ発生の必要十分条件であるとは言えません。ここでは「生活空間の狭さ」がいじめ発生の必要条件である可能性があるというべきでしょうか。



野生の猿の群れには『ボス猿』はいない

さらに本仮説の裏付けになりそうな記事を1つ紹介します。 masatotahara.com 猿は群れで行動します。 群れの中にはボス猿が存在し、群れを統率しています。 これは動物園の猿を観察して発見されたものです。 しかし、野生のサルの群れを観察するとボス猿が存在しないのです。 つまり、動物園という管理された限定的環境下に置かれて初めて、『ボス猿』という概念が生まれたのです。

この記事から僕が考えた仮説がこちら。

制限のかかった環境がヒエラルキーを生む
『ボス猿』という概念の誕生は、『腕力』という物差しで上下関係が生まれたとも言えます。 つまり、制限された環境下では上下関係=ヒエラルキーが生まれるということになります。 もっとちゃんと説明すると、全員が不自由なく生きるには生活空間が狭すぎるとなると、群れの中で固体の生存優先順位を作ろうとする本能が働いているのではないか、ということです。 動物園で食べ物の確保に制限がかけられたサルの群れでは『腕力』が生存優先順位の基準になったのです。


以上が本仮説の裏付けとなります。



最後に

人類の歴史だけを見ても『いじめ』は昔から存在し、そして今もなお存在し続けています。

僕のだいすきな漫画の一つに3月のライオンという作品があります。この作品では作者の羽海野チカ先生の姪っ子さんの実話をもとに、学校で起きた『いじめ』について描かれたエピソードがあります。このエピソードの中で『いじめ』の標的にされたひなちゃんのセリフの1つがこちら。

『何かクラスの中に見えない階級とかがあって、その階級にあわせて、「どのくらい大きな声で笑っていい」とか、「教室の中でどのくらい自由に楽しそうにふるまっていい」かが決められてるみたいな。…誰がえらくて、誰がえらくないって、いつどうやって決まるの?』

www2.nhk.or.jp

みなさんも同じようなことを感じたことがあるのではないでしょうか。 僕も学生時代、意識はしていなくても感じていたと思います。

僕はこれまで「なんでいじめてくるんだろう。いじめっ子は全員いなくなればいいのに。」といじめっ子の気持ちなんて考えてやるもんかと決め込んでいました。しかし「こんなに多くの人が問題意識を持っていてもなくならないなら、『いじめ』の原因は生物本能のようなもっと根深いところにあるんじゃないか。」と考え始めて、この仮説に至りました。

ここまで書いておいてなんですが、この記事の仮説だけでは『いじめ』の解決方法を見出すことはできません。 人間が地球上でここまで繁栄してしまった以上、今更ヒエラルキーをなくすほどの生活空間を確保するのは難しいでしょう。 この記事が『いじめ』について考えるきっかけにでもなってくれたらうれしいです。

また、別の記事でお話しできればと思いますが、ヒエラルキー』と『いじめ』は必ずしもセットではありません。 あくまでいじめ発生の必要条件でしかありません。『ヒエラルキー』の存在と『いじめ』の回避はまた別問題です。 なぜなら、ヒエラルキーを持ちながら、上下関係のある固体の間で『いじめ』が発生しない例があるからです。
例として『リニア・ヒエラルキー』という犬などの群れに存在するものがあるですが、詳しくはこちらを参照ください。 ameblo.jp

今回はかなりのボリュームになってしまいましたが、あくまで理想は「『いじめ』をなくすこと」なので、これからも考えていきたい課題です。

ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。